あすか中央税理士法人　江口清市氏

あすか中央税理士法人のある新潟県長岡市は、長岡市・新潟市の中心都市、越後長岡藩として栄え「常在戦場」「武士の義理、士の一分を立てよ」など質朴剛健な三河武士の精神が流れる町です。こうした土地柄が後に元帥海軍大将の山本五十六を輩出したといえます。今回取材したあすか中央税理士法人の代表である江口清市税理士は、昭和43年に創業し昭和52年からは経営コンサルティングも行ってきました。当時、税務申告など税理士業務以外は行わないという事務所が多い中、江口氏は「企業の繁栄は税理士の務め」としていち早くコンサルティングを開始した先見の明のある税理士事務所と言えます。

江口先生は税理士になる前は普通の企業にお勤めだったとお聞きしました

はい、ある企業の経理部におりました。その企業は大きく業績を伸ばし株式公開を果たしました。私は若かったのですが社長から金庫の鍵も帳簿も全部預けられ本当に緊張の毎日でした。また当時はコンピュータどころか電卓も無い時代でしたから、全て手計算で決算書を作っていました。もちろん株式公開の資料も全て手計算です。そのため毎日、家に帰るのは午前様です。結婚式の前日にも夜中の１２時まで仕事をしていました。その後３２歳で独立しましたが、税理士の資格はとったものの、そもそも会計事務所がどういうものかもわからない。そこでＴＫＣという会に入り勉強させていただきました。

今まで多くの経営者を見てきたと思いますが上手くいく人と行かない人の差はどこにあるのでしょうか？

成功している会社の社長はみなさん本業に徹しています。今の事業を伸ばすにはどうしたら良いか、利益を多く出すにはどうしたらよいか。こうした事を常に考えて行動しています。成功しない会社の社長は、浮気症というか、いろんなことに手を出し、失敗する。これを何度も繰り返す人でしょうか。また自己中心的でまわりの事は何も考えていない。自分だけが儲かれば良い。うまくいかないとほっぽり投げる。こんな感じの人もいます。こういう人たちは大抵失敗してますね。成功する社長とは、きちんと目標を設定して、それに突き進むというタイプの人ではないでしょうか。

なるほど目標を決めて邁進するということですね？

はいそうです。そして必ず毎年一歩ずつでも会社を前に進めるという強い意欲です。

会社を前に進めるというのはどういうことでしょうか？

具体的に言うと、前の年より１円でも多く利益を出すということです。地道かもしれませんがこうして一歩一歩進めていく、進んでいく事が、最終的に会社が成功する秘訣だと考えています。去年はすごく儲かったな、今年は全然ダメだ。なんていう事を繰り返していては、いつまで経っても会社は大きくなりませんし、成功には程遠いでしょう。

そうは言ってもなかなか難しいと思います。景気の変動というものもありますし

その通りです。ですからそれにはまず安定的な収益をつかむということが重要です。本業を一歩一歩堅実に進めていけばお客様からの信用も得られるでしょう。その信用を元にしてまた一歩進む。こうした日々の努力により収益が安定していきます。

若手経営者の育成をされているそうですが

長岡市で毎月、若手経営者塾を開催しています。創業者はもちろんですが、今後事業承継をされる二代目の方を育成したいと思っています。経営や会計のセミナーはもちろんですが、金融機関の方を招いてお話しをお伺いしたり、経営課題を解決するためのディスカッションなど様々な事を行っています。またこの塾に来て頂いている若手経営者の出会いの場として懇親会も行っています。

二代目の経営者に何かアドバイスはありますか？

二代目、三代目は企業をきちんと維持し、事業承継し、さらに発展させなければなりません。とはいえ先代がやったことをそのまま継続すればよいかというとそういうことではありません。先代の背中だけを見ていてはダメなのです。まず先代が成功した理由をきちんと知ることが必要です。そして、その理由をベースにして今の時代や自分の置かれている環境に合わせて変えていくということが重要な事だと思います。

最後に一言お願いします

うちの職員にも言っているのですが、まず会社が困っていることを助けてあげる。解決してあげる。するとその会社が良くなっていくんですね。こうして感謝される事を長く続けていくと一歩ずつ会社というのは大きくなっていくんです。もうひとつは、情報をいち早くつかみ変化し続けることです。世の中の流れに自分を合わせていかなければいつかは浦島太郎になってしまいます。こうした時代の変化に敏感であるという事も重要だと思います。