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宮村宏一税理士事務所 宮村宏一氏

宮村宏一氏 宮村宏一税理士事務所

熊本県熊本市の宮村先生は一般企業での社員時代の経験をうまく税理士事務所の業務に役立てておられる「変わり種」の先生です。税理士は普通、会計や経理、税金の視点から社長に対してアドバイスをしますが、宮村先生は会社の視点、顧客の視点からアドバイスを行う、企業マインドを持った税理士として耳目を集めています。

前職はいわゆるサラリーマンだったわけですね

はい、そうです。会計の世界に入る前は、平田機工株式会社というロボットなどの生産設備を造る会社の総務課に勤務していました。ユニークな人材が豊富なとても楽しい会社でしたが、株式公開に向けた動きの中で会計の世界に興味を持ち、税理士を目指すようになりました。平田を辞めて熊本でもトップクラスの税理士事務所で4年間お世話になりました。税理士試験の勉強をしながら、その事務所で実務を一から教わりました。あまり優秀な所員とは言えず、優秀な先輩方の末席をけがしていたような状態ですので、あえて事務所名はもうしませんが、その先生には本当にお世話になりました。今も大変感謝しております。少し前に実務経験の無い人を雇って仕事を覚えてもらっているのですが、改めて「あの時は、お世話になったな~」と思います。

先生はコンピュータに詳しいですが、それは在職中に学ばれたのですか?

コンピュータは平田で学びました。平田では入社してから1年近く新人研修がありました。コンピュータも新人研修で教えてもらい「各自職場に配属されたらコンピュータを広めなさい!」と言われました。総務課でも煩雑な業務や繰り返しの仕事が多かったので、色々な業務をコンピュータ化していきました。一番最初にコンピュータ化した業務は、昇給辞令の作成です。それまで約700枚もの昇給辞令を手書きで作成していたのですが、パソコンの差込印刷機能を使って昇給辞令を作成することにしました。

生産効率を考えずに仕事を行っている会社が多いですから会社から喜ばれたのではないですか?

ある工場では、女子社員が苦労しながらロット生産に必要な部品をリストしていましたが、製品毎の部品リストと在庫状況から発注する必要のある部品を割り出すソフトを作成しました。
また、原価計算をする部署では、スタッフが手計算で原価計算を行っていましたが、計算の仕組みをコンピュータに登録し、部品図を見ながらデータを入力すると、材料費と加工費を計算する原価計算ソフトを作りました。
これらは、上司の指示を受けてコンピュータ化したのではなく、現在の業務を見ながら、こうしたら楽になるんじゃないかということで提案しました。税理士としていろいろな会社を見ていると、こうしたらよいのにな、あれは改善できるなというアイデアがどんどん出てきます。顧問先企業には、会計事務所としての業務の枠にとらわれず、顧問先の業務にも出来るだけ深く入り込んでいって、資料を作成し、有益な提案をしております。

顧問先にとってはありがたいですね。帳簿の話しかしない先生もいますからね

私は、「提案する税理士」を自称しています。経営者の方に有益な「提案」を行うことを第一に考えながら業務を行なっています。今までに法人の持分移転や、奥様への贈与、消費税の還付など、様々な節税提案をして大幅な節税を行いました。経営者のご家族がマンションを買い替えられる際、譲渡損失の損益通算で結構な額の還付になったケースもあります。

先生は、節税に強い税理士という事でしょうか?

特別に「節税」を強調するつもりはありませんが、「提案する税理士」を自称していますから何か提案しないとならない(笑)。冗談はさておき、税理士の中にはいろいろな人がいます。たとえば正しく申告すれば良いという税理士ですと、顧問先に言われたことはきっちりやる。しかし、言われないことは何もやらない。そういう人もいます。

それは困りましたね。知らないことはお願いできませんし

いや、税理士でもそもそも知らないので提案できないと言う事もあります(笑)。私は顧問先のためになりそうなことは、税理士の業務範囲を超えてありとあらゆる勉強をしています。先日、新しくお付き合いさせていただいた医師は、失礼ながら措置法第26条を理解しておられないようでした。以前関与されていた税理士は正しい申告をされていたと思いますが、医師に対し措置法の意味を説明されていなかったようです。 概算経費で所得を計算する措置法を適用する場合、実際の経費がたくさんあってもあまり意味がありません。そこで経費を増やすよりも所得控除を増やすことをお勧めしました。その先生はまだ小規模企業共済に加入しておられませんでしたので、加入をお勧めいたしました。

以前の税理士から聞かされていなったのはお気の毒でしたが、そのお医者さんは救われましたね

他にもたくさんの事例があります。業績が好調で持分の評価がかなり高くなっている法人のオーナーから、ある程度持分を子供に移転したいとの相談を受けました。贈与でいくか譲渡でいくかを検討し譲渡でいくことにしましたが、計算をしてみると、かなりの譲渡益が発生しました。本来であればかなりの譲渡益課税が発生するところでしたが、その時はそれを回避することができました。

今、注目されている節税方法は何でしょうか?

経営者の方に、今もっとも提案したいのは「少人数私募債」の発行です。ビジネスの発展過程を見ると各節目に節税ポイントがあります。第一の節税は、白色申告をしていた個人事業主が「青色申告」に移行すること。第二の節税は、青色申告をしていた個人事業主が「法人成り」すること。そしてビジネスが成功し、成熟段階を迎えた経営者の役員報酬はかなり高い税率になっていますので、20%の源泉分離課税で済んでしまう「少人数私募債」の活用をお勧めします。あまり知られていない節税方法ですが、「少人数私募債」は第三の節税になると思います。

税理士で、少人数私募債に詳しい方は非常に少数ですね

はい、税理士の業務というより、資金調達のノウハウに近いですから。この少人数私募債と併せて考えていただきたいのが「無借金経営」の実現です。ビジネスが成熟期にある会社の経営者には、既に無借金経営を実現されている方もいらっしゃる事だと思います。借入金を上回る現預金をお持ちで実質無借金経営をされている方や、無借金経営を目指しているという経営者の方もいらっしゃるでしょう。「少人数私募債」をうまく使って、有利な利息の受取と無借金経営の実現、ひいては理想的な形での後継者へのバトンタッチのお手伝いをさせていただきたいと思います。後継者の方も、無借金だと引き継ぎやすいでしょうから(笑)。少人数私募債を学ぶために、『ストーリーでわかる「少人数私募債」』(井上達也・赤田一 ?中央経済社)を読みました。その後、著者の方とも親しくなり一緒にセミナーを行わないかと誘われています。

経営者の方にメッセージはありますか?

そうですね。特にサービス業の顧問先に提案させていただきたいのは、顧客分析をしていただきたいことですね。たとえば、単純に、何曜日が儲かっているかわかっていますか? これにより定休日を再検討する必要があるかもしれません。またよく利用してくれる人をポイントカードのデータなどから顧客別・年齢別・地区別・サービス別の分析が行えるかもしれません。地域がわかればチラシ配布エリアも限定することが出来ます。また上得意客いわゆるVIP顧客も明確になっていくでしょう。

分析するには経理は自分でやらないとなりませんね

いや、そんなことはありません。データが、揃えばよいだけですから。このサイト「日本の会計人」に選出された先生方には申し訳ありませんが、実は「経理丸投げ」という事もアリだと思っています。顧問先自身がパソコン会計ソフトを使って経理をやる事はすごく良いことです。でも社長が、今やらなければならないのは「儲けること」です。社長は"儲ける"ことに専念していただいて、経理業務はこちらに丸投げされる「経理丸投げ」も顧問先によりますが提案しています。

最後に、経営者が読んでおきたい本を一冊推薦してください

『直子の繁盛物語』(島おさむ 商業界)が面白いと思います。皆さんも、色々と工夫をして結果がでると「商売って何て面白いんだろう!」という気になると思います。本を読みながら、実際にはこんなに簡単じゃないよと思いながらも、読んでいてスカッとして、「自分もがんばろう!」という気になる良い本だと思います。マンガになりますが『マネーの拳』(三田紀房 ビッグコミックス)も面白いと思います。
『会社にお金が残らない本当の理由』(フォレスト出版)を書かれた岡本吏郎さんは同じ税理士ですが、岡本氏の本は、どれも面白いですね。著者のプロフィールを見ると、何と私と同い年!私も負けずにもっと色々と勉強しなければと刺激を受けました。

●事務所

宮村宏一税理士事務所

●所長

宮村宏一

●所属

南九州税理士会

●所在地

熊本県熊本市上通町10-22-305

●電話

096-389-5194

●URL

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