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税理士法人新日本 石渡会計事務所 石渡正明氏

石渡正明氏 税理士法人新日本 石渡会計事務所

「税理士法人新日本 石渡会計事務所」は、千葉県内で最古といえる歴史を持つ会計事務所。創業時から通算すると約73年の歴史がある名門の会計事務所です。現在は、税理士業務と行政書士業務を中心に、地域密着型の会計事務所として数多くのクライアントに経営指導をする傍ら、他士業とのネットワークを活かし「相続サポートセンター」を運営して、相続問題や事業承継に悩む人々を助け社会全体の利益の増進に寄与しています。

創業時から通算73年というのはスゴイですね

はい、先代が昭和11年12月10日に、千葉県木更津市で、代書、測量、設計、建築、代願及び会社、組合経理事務一般を業務として「木更津公務所」を創業しました。そして、昭和17年6月18日に大蔵大臣より税務代理士の許可を得て、昭和26年12月25日に税理士として登録しました。その後、司法書士、行政書士、中小企業診断士、社会保険労務士、土地家屋調査士、二級建築士の免許を順次取得し、「総合事務所」として運営してきました。

歴史のある事務所を継がれるのは大変ですよね

事業承継をしたのは今から15年前の平成7年、私が29歳の時でした。歴史がある事務所というのは知名度や実績がありますし、豊富な事案をこなしてきたため、歴史の浅い会計事務所より顧問先にとって信頼感と安心感があります。しかし、その反面新しいことに対する取り組みに鈍いという弱点を持っているということも事実です。そこで、自分も含め職員全体が税法や会計は勿論それ以外の分野において、ありとあらゆる知識を吸収して様々なことに興味を持ち、顧問先と連携しながらお互い切磋琢磨していかなければこれからの新しい時代に対応していけないと感じ、事務所改革に取り組みました。

先生が事務所改革をしたことで何か影響はありましたか?

職員の努力と顧問先の理解もあり、現在の事務所は「目的意識を持って自ら成長し、組織と顧問先に貢献したい」と考える人たちで構成されています。また、電子申告も早期から着手していたので法人・個人の全顧問先100%を達成することが出来き、書面添付にも取り組んでいます。お陰さまで新規のご依頼も多くなりました。中でも最近、印象に残っているのは不思議な二つのご依頼です。

どのようなご依頼だったのでしょうか?

一つは老舗の有料老人ホームです。会長は90歳の女性の方。業界では大変有名な方で、その風貌や話し方からとても迫力と説得力がありました。 初めての面談で会長は延々と二時間ぐらい世間話をするので、いい加減に痺れを切らした私は、話しの途中ではありましたが、会社の決算書で気になる箇所があったので、数字の話をさせていただいたのです。
すると会長は、いきなり「お前は木の股から生まれてきたのか」「老人は国の宝だ」「敬老精神を理解しない奴にはうちの会社は任せられん」と怒ってしまったのです。その場は素直に謝り、その後、お願いして私に話す機会を与えていただきました。
自分は明治生まれの先代の事業を承継していること。先代とは養子縁組であること。養父と実夫はすでに他界していること。今は二人の母親を大切にしていること等々。戦前戦中戦後を力強く生き抜いてこられた会長に対して実際何を話していいのかわからず、気がついたら自分の生い立ちを正直に話していました。すると会長は突然「事業を引き継がせたい孫がいるので経営の指導を頼む」といわれたのです。

老人ホームの会長は先生に対して何故お怒りになったのでしょうか?

「会社の仕組みは革新してくれ、サービスは進化し続けなければならない、ただし、創業の精神だけは伝承しなさい」ということを会長は、私が理解できなかったことにお腹立ちだったのだと思います。つまり会長は「生きる喜びを提供する」ことが「伝承すべき創業の精神である」と言いたかったのだと私は解釈しています。

もうひとつのご依頼はどのようなものだったのでしょうか?

葬儀場7店舗を営む葬儀屋さんです。地元の青年会議所で「ナイトウオーク」という、夜通し40キロほどの距離を、子供たちを引率してひたすら歩くという事業がありました。歩いている間ずっと私の側で、いろいろ会社経営の話をしてくる人がいたのです。 明け方、もうすぐゴールというところで「石渡さん、うちの会社を面倒見てもらえませんか ?」「創業者は自分のお婆さんで、近いうちに自分が事業承継したいと思っています。」「石渡さんと一緒に会社を改革したいのです。」という内容の話でした。

今はどちらの会社の顧問もされているのですね

はい。会社は別々ですが二人のお孫さん達と共に、事業承継に取り組みました。彼らの努力と、自分自身の事業承継の経験を生かし、一定の成果をあげることができました。どちらの会社も経営成績は良好ですが、それにもまして、サークル活動が充実しているところが素晴らしいと感じています。老人ホームでは、積極的に入居者に働きかけて、毎日充実した生活を送れるように、様々な活動をしています。また葬儀屋さんでは、悲しみにくれる遺族の方たちに、生きる勇気と希望を与える活動を積極的に行っています。

先生は会社の数字だけではなくサークル活動や創業の精神までも理解しようと努力していらっしゃるのですね

事務所の創業の精神を伝承して、この二つの会社のサークル活動にも賛同させていただき、老人や遺族の方たち、つまり各々の会社の顧客である個人に対しても目を向け、個別税務相談等を通じて「生きる喜び」のほかに「安心」を提供する活動をさせていただいています。税理士という仕事を通じて人様のお役に立てることであれば、できる限りのことは尽くそうと考えています。老人ホームの会長に教えていただいた「創業の精神だけは永遠に受け継ぎなさい」ということは座右の銘にしています。

相続や贈与に関する仕事の依頼もかなり多いのではありませんか?

顧問先も2代3代と続くところも多く、また戦前からお付き合いのある地主さんも数人いらっしゃいますし、老人ホームや葬儀社とも提携していますので、贈与税はもちろん相続税の申告書作成も年間相当な数のご依頼を頂いております。人は誰でも「死」を避けることはできません。「相続」は100人中100人が経験するものということになります。「相続税」という税金がかからない人であっても、残された家族(相続人)は葬儀を執り行ったり、一連の相続手続と遺産分割を行う必要があります。最近はそのような人たちを対象に 「相続サポートセンター」を設立しアドバイスを行っています。

「相続サポートセンター」を設立した経緯についてお話ください

相続に関する仕事は相続税の申告や遺産分割協議、不動産登記や90種類にも及ぶ相続手続を含め多岐に亘るため、いくら専門家といえどもこれら全てを一人でカバーすることはほとんど不可能です。そこで、お客様が安心して相談できるように、相談者の立場に立ち、総合的なアドバイスが出来る相談窓口として「相続サポートセンター」を設立しました。専門的な手続が必要であれば、弁護士、司法書士、社会保険労務士、不動産鑑定士、土地家屋調査士等とのネットワークにより、相続を総合的にコーディネートしております。

「相続サポートセンター」は相続税がかからない人たちに対しても相談窓口になっているのですね

もちろんです。相続は資産家のためだけものではありません。全ての人に関わってくることです。ですから気軽に相談して欲しいですね。長年、地道に相談を受けてきましたが、最近感じることは、相続の相談内容が少しずつ変化していることです。おそらく「少子化と核家族化」が原因だと思います。

相続の相談内容や相談者の層も変わってきているということでしょうか?

配偶者に先立たれ、家に一人残されるというケースが増えてきました。子供さんは親元を離れ会社勤めで忙しく、相続手続も思うように進まない。もともとサラリーマン家庭ですから、知り合いの税理士や司法書士もいないので誰に相談していいのかもわからない。日本の社会は申請が基本となっています。申請をしないと権利は失われてしまいます。しかし、申請どころかその制度があることすら知らない。例えば「カード会員の特典」や「高額医療費の還付請求」といったもの。こういうものは受ける側が申請しないと戻ってきません。実際、生活保護を受けている人や、残されて一人暮らしとなってしまったお年寄りなど、名義変更や申請など一人では出来ません。私の場合、本業が税理士ですので税金以外のことは本来、関係ないのですが、そういう事実があることを知ってしまった以上、放っておくわけにはいきません。 「相続サポートセンター」は相談者に「気づき」と「安心」を提供するという意味ではビジネスというより、むしろ人助けですね。相続とか事業承継に関しては、実際に経験した人でなければ解らない辛い部分が多々あります。メンタル的な負担が大きく、最後は体力勝負になったりもします。「人情」を含め、トータルサポートできるように今後も努力していきたいと考えています。

●事務所

税理士法人新日本 石渡会計事務所

●所長

石渡正明

●所属

千葉県税理士会 木更津支部

●所在地

千葉県木更津市長須賀572-7

●電話

0438-25-4151

●URL

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