今回の日本の会計人に登場して頂いたのは、税理士の内田政敏先生(58)です。内田先生は群馬県の経済の中心、高崎市に内田会計事務所を構えて今年で26年目。行政書士・社会保険労務士など複数の資格を駆使して早くからワンストップサービスを実践。顧問先だけでなく若手税理士からも厚い信頼を得ています。
税理士になられたいきさつ、事務所開業当時の思いで、中央との格差に苦しむ地方経済などについて伺いました。
学校が明治大学の商学部だったので、周りに税理士志望の友人が多かったというのが、まず大きな理由ですね。大学在学中に税理士試験を受けて、卒業する時点で2科目取っていましたから、既定のコースという感じでした。それともう一つ、これは今から考えると勘違いだったんですが、税理士になったら普通のサラリーマンより、自由になる時間が多いのではないか、という期待があったんですね。
ええ。実をいいますと、私、学生時代にボディビルをやっていまして、かなりのめり込んでいました。ご存知かどうか分かりませんが、明大のボディビル部というのは昔から伝統があって、非常にレベルが高かかったんです。そんなこともあって、いずれお金と時間に余裕ができたら、ボディビルのジムを経営してみたいという夢をもっていたんです。
いえ、大学を卒業した後は高崎に戻って市役所に入りました。そこで昼は勤務、夜は試験勉強という二重生活を3年余続けました。この間、1年に1科目のペースで大学時代に取得できなかった残りの3科目を受験し、5科目すべて合格したところで市役所を辞め、前橋市内の会計事務所に転職しました。それからそれから4年ほど実務経験を積んで、1982年に独立しました。
そうですね。だれでも通る道ですが、最初はなかなか顧問先が確保できなくて困ったなと思った時期はありました。ただ、幸いなことに、私の場合は事務所の開設と前後して市内に簿記の専門学校が開校したおかげで、そこで講師のアルバイトをしながらなんとか食いつなぐことができました。しかも、不思議な縁というか、当時の教え子の多くが税理士になっていましてね、今では私の人脈を支えてくれる大きな力になっています。
顧問先に本当に喜ばれることはなにか、本当に困っているのはどの部分か、それを的確に見きわめることですね。よく支部の会合などでも話題になるんですが、実務経験を積んでその加減が分かるようになるまでに10年はかかるといわれるくらい、これは税理士にとって悩ましい問題なんです。
そうとう厳しいですね。これでますます地域格差が拡大するんじゃないかと、経営者の方々は皆さん、深刻に受け止めています。そうでなくても、高崎は建設関連の企業が多いので、公共事業が減ったことが大きく響いていますから。今、地方の中小企業は本当に大変です。利益を出すというより、まず会社を存続させる。そのうえでどうやって生きのびるか必死で模索しています。顧問先があってこその税理士ですから、私たちにとっても、この状況は他人事ではありません。どうしたら手助けできるかということが最優先の課題になっています。
実際に税理士として働きだすと、いろいろ忙しくて、いまだ夢半ばというところです。でも、今でも地元で開かれる小さな大会の審査委員を務めたりして楽しんでいます。
いや、おそらく知らないでしょう。照れくさいので敢えて自分からそんなことはいいませんし、それに私は昔から着痩せするタイプでしたから。
●事務所
内田会計事務所
●所長
内田政敏
●所属
関東信越税理士会 高崎支部
●所在地
群馬県高崎市日高町1353-4
●電話
027-362-5220
●URL